実家に1人で暮らす年金暮らしの母親を扶養に入れることはできる?

Q. 実家に1人で暮らす年金暮らしの母親を扶養に入れることはできる?

【ご相談内容】
 一緒に住んでいなくても、仕送りをしていれば「扶養」に入れられると聞きました。 実家で1人暮らしをしている母を自分の扶養に入れることができますか?  

【情報】

 相談者は、43歳の会社員の女性。夫(会社員)と子ども2人と都内で暮らしている。 先日、実家の父が他界。71歳の母は、実家で1人暮らし。 年金暮らしの母の生活が心配の為、生活費として毎月仕送りをしている。  

「扶養」には、2つある

会社の年末調整や確定申告の時期になると良く耳にする「扶養」という言葉。「扶養」には、2種類あります。

・所得税や住民税など「税金」に関する「扶養」

・健康保険など「社会保険」に関する「扶養」

要件を満たしていれば、どちらの場合も別居している実家のお母さまを「扶養」に入れるができます。では、どのような要件やメリット・デメリットがあるかを一覧で確認してみましょう。


ケーススタディで検討してみよう

要件を満たしていれば、子であるご相談者様の税金の負担を軽くすることができ、実家で1人暮らしをされているお母さまの健康保険料の負担も一定期間なくなります。

ここで確認したいことは、2つです。

・お母さまの年間収入

・ご相談者様からお母さまへの仕送り額

具体的に、以下の2つのケースで比較してみましょう。

その他の注意点

1つ目の注意点は、ご相談者様の他のご兄弟がお母さまに仕送りをしている場合です。例えば、お兄さまが同じ額の仕送りを毎月している場合、お母さまを税法上の扶養控除の対象にできるのはご相談者様かご相談者様のお兄さまのどちらか1人だけです。お母さまに確認をしましょう。

2つ目は、健康保険上の扶養手続きは、ご相談者様の加入される健康保険(組合もしくは協会けんぽ)により、詳細の要件が異なります。まずは、会社の担当部署に必要な手続きについて確認しましょう。

3つ目は、ご相談者様からお母さまへの定期的な仕送りの証拠を残しておきましょう。今のところ、税法上の扶養手続きでは、預金通帳の写し等の書類の提出は義務づけられていませんが、社会保険上の手続きでは、提出が求められます。預金通帳や現金書留の控えの写しなど、送金の事実がわかるものを必ず残しておきましょう。

まとめ

ご実家で1人暮らしをされている親御さんを扶養に入れる場合には、会社での手続きを確認するとともに、親御さんの年間収入や仕送り額等も確認しておきましょう。

また、親御さんの医療費が多い、介護サービスを利用しているなど、健康保険の使用状況によっては、社会保険上の扶養に入れるべきかどうかを検討する必要があります。 具体的なシミュレーション等が必要な場合は、当法人をご活用ください。

※2021年3月6日時点の情報です

執筆:サポート会員 原田幸子(CFP)