子供の養育費の値上げはできるの?
Q. ご質問
子供の養育費は、元夫からきちんと毎月いただいていて、大変ありがたく思っています。
ただ、子どもが中学に上がるので、これからお金がかかることが不安です。私の給料も頭うちで日々の生活に精いっぱいなので、養育費をもう少し上げてもらえように話をしてみたいのですが、どうしたらよいのでしょう。
A. 回答
ご質問ありがとうございます。以下、順を追ってご回答いたします。
1 元夫との関係性
離婚後養育費を支払い続けている方が約24%(2016年全国ひとり親世帯等調査)と言われているところ、元夫から毎月養育費が支払われているとのこと、望ましい状況だと思います。
ところで、元夫とは電話・メール・LINEなどで気軽に連絡が取れるご関係でしょうか。
離婚したとはいえ、お子さんの養育・教育は、父母が協働して行う義務がありますので、気軽に連絡が取れるかどうかは、養育費の値上げの話をする上でとても大事なことです。
2 直接の相談・交渉
元夫と気軽に連絡が取れる間柄であれば、まずは直接「相談」してみてはいかがでしょうか。率直に、お子さんが中学校に進学すること、そのために具体的にどのように支出が増えるのかを説明し、具体的にどのくらい養育費月額を増額してほしいのか、相談するということです。
養育費の増額は、当事者間で話ができるのであれば、どのように合意をするかも当事者間の意思にゆだねられます。 また、今回は中学に上がる際のケースですが、お子さんが高校生などお金の話ができる年齢であれば、直接父にお願いできる関係、という場合も考えられます。
3 合意内容の書面化
直接相談・交渉で解決できるのであれば、あとはその内容をどのように記録化するのか、という問題があります。
ここまで毎月養育費を支払っているということなので、ある程度元夫を信頼してもよいとも考えられます。一方で、後で支払いが滞った場合の不安等もあるでしょう。
そこで、増額の合意ができた場合は、最低限、月額いくら支払うことにしたのか、その内容が分かるように、メールやLINEで交わした合意内容を記録化しておきましょう。可能であれば、書面にて合意書を取り交わしておくことも有効です。 さらに、より強力な書面化の手段として、公正証書を作成するという方法があります。公正証書とただの合意書(契約書)との違いは、支払いが滞った時に直ちに強制執行に移ることができるか否かにあります。また、公証役場というきちんとした機関が作成しますので、合意書を締結した事実やその内容の真実性についても、通常の書面より信頼性や、いざ紛争になったときの証拠価値は高いといえます。
4 裁判所を使った手続
話し合い自体はできるが合意ができない場合や、そもそも話し合いに応じてもらえない場合はどうするのかという問題もあります。
この場合は、裁判所を使った手続(調停や審判)を使うことになります。
調停や審判の具体的な手続については、裁判所のHPなどを参照いただき、必要であれば専門家に相談にされることをお勧めします。 原則として調停を先に申し立てます。調停は、裁判所に間に入ってもらい、当事者間の合意(話し合い)で解決できないかを探る手続ですので、さほどハードルは高くないと思います。本人同士で話し合うだけでは解決できない場合は、検討をお勧めします。
ところで、離婚が成立したのはいつ頃でしょうか。離婚成立から2年以内であれば、妻自身の財産分与を申し立てられる余地もあります。今一度、離婚をされたときに、どのような条件を定めたのか、双方どのような財産をお持ちだったのか等をご確認ください。
執筆:サポート会員 岩田とみゑ(行政書士)